[天文トピック]11/8(火) 皆既月食と天王星食に注目!
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2022年11月8日(火) 東の空[福岡市]
\ 2022年注目の天文トピック /
今回の月はどんな色? 皆既月食 を観察してみよう
今年(2022年)11月8日(火)、福岡では約1年半ぶりに皆既月食が見られます。
月食とは、太陽・地球・月が一直線に並んだ時に起きる現象で、地球の影の中に月がすっぽりと入ってしまうときが皆既月食、一部分だけ入るときが部分月食です。
今回の皆既月食では、皆既の継続時間が約1時間25分あります。
ぜひ、その間の月の色にもご注目ください。
一般的に、皆既月食の色は
暗い赤色です。なぜそのように見えるのでしょうか。
地球の影の中に完全に入ってしまうのであれば、真っ暗になって全然見えなくなってしまいそうな気がしませんか。
これは、地球の大気の影響によるものです。
太陽光にはいろいろな波長の光が含まれています。
地球の大気により、波長の短い青い光は散乱してしまいますが、赤い光はあまり影響を受けません。
わずかに屈折しながら月に降り注ぎます。
これによって月が赤っぽく見えることになります。
この色は、地球の大気の中にある
大気中の塵が少ないと、大気を通り抜ける光の量が多くなるためオレンジ色のような明るい色の月が見られます。
塵が多いと、影が暗くなり、灰色や、時には黒く見えることもあるといいます。
今から40年ほど前、1982年12月30日に起こった皆既月食は真っ黒だったそうです。
その年の春、メキシコのエルチチョン火山が噴火しました。
その火山灰などが成層圏にまで達した影響だと言われています。
今回の月食はどのような色に見えるでしょうか。
皆既月食
中に
天王星食
も見られるチャンス!
今回の皆既月食のときに、とても珍しい天文現象も同時進行で観察することができます。皆既月食中の天王星食です。
また、皆既月食が始まって1時間くらいたった頃、双眼鏡などで月のすぐそばに小さな星が見えたらそれが天王星だと思って間違いないでしょう。
その後20時22分に天王星を月が隠してしまいます(天王星の潜入)。
そして約1時間後、皆既月食が終わって半分以上月が見えてきた21時17分ごろ、月の右側から天王星が顔を出します(天王星の出現)。
部分月食中の月の影の部分から天王星がキラリと姿を現します。
天王星は、太陽系の惑星の1つで、太陽系8つの惑星の中、内側から数えて7番目に位置しています。
金星や火星、木星、土星はかなり明るく輝きますので見つけやすいのですが、天王星となると、少し難しくなります。
天王星は、木星、土星に次ぎ、太陽系で3番目に大きな惑星です。
しかし、太陽からの土星までの距離の、その2倍ぐらい遠いところを回っていますので、それほど明るくは見えないのです。
11月8日は、そんな天王星を見つけるチャンスです!
ぜひご注目ください。
[文:福岡市科学館 学芸員 丹野佳代子]
PROFILE
丹野 佳代子

福岡市科学館 学芸員
福岡市科学館ドームシアターリーダー
佐賀県佐賀市⽣まれ。
佐賀県内公⽴学校で教鞭をとる。
佐賀県武雄市にある佐賀県⽴宇宙科学館の建設に際しては、プラネタリウム・天⽂台、宇宙関係の展⽰物の設計等をおこなう。
佐賀県⽴宇宙科学館開館後は、科学館に勤務し、宇宙チームのリーダーとして、プラネタリウムや天⽂台の運営、番組制作、教育普及活動をおこなう。
2008(平成20)年、天⽂教育普及に関する業績により、⼩惑星12411に「Tannokayo」と命名される。
佐賀県⽴博物館・美術館の学芸員を経て、現在は福岡市科学館に勤務し、ドームシアターリーダーとして、プラネタリウムの運営・番組制作等にあたっている。 豊富な知識をバックボーンとした⽣解説は、星の語り部として、全国にファンも多い。
プラネタリウム番組のナレーションや番組制作の監修も⾏っている。
\ 皆既月食前にプラネタリウムで予習しませんか? /10/12(水)「ほしのおはなし」では、皆既月食の見え方についてもご紹介します![]()
福岡市科学館6階ドームシアター(プラネタリウム)では、小さなお子さまにおすすめの「ほしのおはなし ~はじめてのプラネタリウム~」の投映を季節毎に行っています。 ※ 当館学芸員の丹野佳代子の解説を予定しております。
※ チケットは2022年10月12日(水)9:30より3階総合案内/チケットカウンターにて販売します。 ※ 皆既月食当日の2022年11月8日(火)は休館日のため天体観測会の実施はありません。晴れたらぜひ、ご自宅などから夜空を見上げてみてください。 |
参考リンク
<参考リンク / 国立天文台ホームページ> |