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[天文トピック]夜空の「赤い三角」で"惑星"を体感!?

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夜空の「赤い三角」で"惑星"を体感!?


惑星は「惑う星」。恒星に対して位置を変えていく様子から名づけられました。英語のプラネット(planet)も「放浪者」を意味するギリシャ語が語源と言われています。惑星が"惑う"とは、どのような様子を指すのでしょうか。この冬は「夜空の RED TRIANGLE(赤い三角)」がおススメです!

冬の夜空で赤っぽく輝く明るい恒星といえば、ベテルギウス(オリオン座)とアルデバラン(おうし座)が有名です。恒星は、その色で表面温度を知ることができます。赤くなるほど温度が低くなり、この2つの星はどちらも3,500~4,000度ほどです。

そして今、アルデバランの少し北側、同じくおうし座の領域に火星が入っています。火星は、地球の外側を周る惑星で、約2年2か月ごとに地球に近づき、その時の距離により、大接近・小接近などと呼ばれます。火星もまた赤い色をしていますが、これは火星の地面の大部分が酸化鉄を含む赤っぽい岩石や砂で覆われているためです。

火星とベテルギウスとアルデバラン。この赤っぽい1惑星2恒星で構成される三角の形にご注目ください。日ごとに火星は少しずつではありますが、相対的に東に移動していきます。それに伴い、鈍角三角形が鋭角三角形に変わっていきます。

また、今は3つの星の中で最も明るく見える火星ですが、今期の最接近(2022年12月1日)を終え、現在地球から遠ざかっているため、明るさも変化していきます。
4月には3つの星の中で一番目立たなくなるでしょう。
数日おきで構いません。ぜひ夜空の赤い三角を見上げてみてください。
惑星が"惑う"様子を観察できる貴重な機会です。

[文:福岡市科学館 学芸員 丹野佳代子]


PROFILE

丹野 佳代子 たんの かよこ

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福岡市科学館 学芸員
福岡市科学館ドームシアターリーダー

佐賀県佐賀市⽣まれ。
佐賀県内公⽴学校で教鞭をとる。
佐賀県武雄市にある佐賀県⽴宇宙科学館の建設に際しては、プラネタリウム・天⽂台、宇宙関係の展⽰物の設計等をおこなう。
佐賀県⽴宇宙科学館開館後は、科学館に勤務し、宇宙チームのリーダーとして、プラネタリウムや天⽂台の運営、番組制作、教育普及活動をおこなう。
2008(平成20)年、天⽂教育普及に関する業績により、⼩惑星12411に「Tannokayo」と命名される。
佐賀県⽴博物館・美術館の学芸員を経て、現在は福岡市科学館に勤務し、ドームシアターリーダーとして、プラネタリウムの運営・番組制作等にあたっている。 豊富な知識をバックボーンとした⽣解説は、星の語り部として、全国にファンも多い。
プラネタリウム番組のナレーションや番組制作の監修も⾏っている。





そら くんと行くオリオン座ツアー!


2023年3月13日(月)まで投映中の、福岡市科学館オリジナル生解説番組「宙語り」2022冬のテーマはオリオン座。この番組では、星が誕生する場所である「オリオン星雲」や、最期を迎えようとしている星「ベテルギウス」に焦点を当てながら、星の一生を巡ります。星はどのようにして誕生し、それぞれどんな一生をとげるのでしょうか。番組ナビゲーターの宙くんと一緒にオリオン座ツアーに出かけましょう。


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福岡市科学館オリジナル生解説番組 Vol.19
宙語り2022冬 「オリオン座と星の一生」2022冬 「オリオン座と星の一生」




ドームシアター(プラネタリウム)の番組内でも天文トピックを紹介しています


福岡市科学館では、個性あふれる解説員による生解説番組や音楽とコラボレーションした番組など、宇宙をより身近に感じられるさまざまなプラネタリウム番組の投映をおこなっています。一般番組には解説員による今夜の星空生解説があります。ぜひプラネタリウムでも天文トピックをお楽しみください。