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[天文トピック]宵の明星「金星」が見ごろです!

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\ ♪いちばんぼ~し、みぃつけた♪ /

よい 明星 みょうじょう 「金星」が見ごろです!

金星は、地球の内側を回る太陽系第2番目の惑星です。
地球から見える中では、太陽、月に続いて3番目に明るく見える天体です。
今年(2023年)4月1日現在の明るさはマイナス4.0等。
これは標準的な1等星(=1.0等)の100倍の明るさということになります。

金星の質量や密度は、地球よりもわずかに小さいものの、地球とよく似ています。
そのため、「地球の双子星」と呼ばれることもあります。
しかし、惑星全体が分厚い二酸化炭素の大気で覆われているため、その温室効果で地表の温度はなんと460度!
そして、地表60km付近の空に浮かぶ雲の主成分は 濃硫酸 のうりゅうさん
とても人が住める環境ではありません。

金星は地球に近く、また、濃硫酸の雲が太陽光を効率よく反射するため、空でひときわ明るく輝いて見えます。
その輝きは昔から人々の興味を引き付けてきました。
平安時代の作家、清少納言の枕草子には「星はすばる」ではじまる有名な章段があります。

「星はすばる、彦星、ゆふづゝ。よばひ星、少しをかし。尾だになからましかば、まいて。」

この中で、「ゆふづゝ(夕づつ)」として登場しているのが金星です。
「宵の明星」や「明けの明星」も、よく知られている金星の異名です。
夕方西の空に見える時は「宵の明星」、明け方東の空に見える時は「明けの明星」と、見える位置によって名前が変わります。

夕暮れ時、まだ空が青い中でキラリと輝き始める金星。
ひとりで探すのも良いし、誰かと一緒に探すのも良いでしょう。
晴れた日にはぜひ、一番星探しをしてみてください。

また、望遠鏡をお持ちのかたはぜひ金星を観察してみてください。
時期によっては月のように大きく満ち欠けをする様子も見ることができます。
中学生の理科の学習内容にもなっていますが、満月のようにまん丸だったり、半月や三日月のように欠けていたりと、太陽と金星、地球との位置関係によって、金星の見え方は変わっていきます。
その変化の様子を観察しながら、宇宙空間での天体の位置関係を想像するのも楽しいかもしれません。

(文:福岡市科学館 学芸員 丹野佳代子)

金星カレンダー

2023年4月~7月 -『天文年鑑2023』より-
4月23日 金星と月が接近
5月23日 金星と月が接近
6月 4日 金星が東方最大離角
    (太陽との角度:45.4度、光度:-4.4等)
6月22日 金星が月・火星と接近 ※図参照
7月 7日 金星が最大光度(光度:-4.7等)

※「接近」:天体が地球から見て同じ方向にあるため近づいて見えますが実際に接近しているわけではありません。


PROFILE

丹野 佳代子 たんの かよこ

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福岡市科学館 学芸員
福岡市科学館ドームシアターリーダー

佐賀県佐賀市⽣まれ。
佐賀県内公⽴学校で教鞭をとる。
佐賀県武雄市にある佐賀県⽴宇宙科学館の建設に際しては、プラネタリウム・天⽂台、宇宙関係の展⽰物の設計等をおこなう。
佐賀県⽴宇宙科学館開館後は、科学館に勤務し、宇宙チームのリーダーとして、プラネタリウムや天⽂台の運営、番組制作、教育普及活動をおこなう。
2008(平成20)年、天⽂教育普及に関する業績により、⼩惑星12411に「Tannokayo」と命名される。
佐賀県⽴博物館・美術館の学芸員を経て、現在は福岡市科学館に勤務し、ドームシアターリーダーとして、プラネタリウムの運営・番組制作等にあたっている。 豊富な知識をバックボーンとした⽣解説は、星の語り部として、全国にファンも多い。
プラネタリウム番組のナレーションや番組制作の監修も⾏っている。




ドームシアター(プラネタリウム)の番組内でも天文トピックを紹介しています


福岡市科学館では、個性あふれる解説員による生解説番組や音楽とコラボレーションした番組など、宇宙をより身近に感じられるさまざまなプラネタリウム番組の投映をおこなっています。一般番組には解説員による今夜の星空生解説があります。ぜひプラネタリウムでも天文トピックをお楽しみください。