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[天文トピック]土星の環が消える?!(2025年)

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土星の環が消える?!

太陽系の惑星の中で、木星に次いで2番目に大きな惑星、土星。
環(わ)のある惑星としても知られています。
これまでの探査で土星以外の惑星(木星、天王星、海王星)にも環があることがわかっていますが、地球から小望遠鏡でも環を観測することができるのは土星のみ。環は土星の代名詞と言ってもよいでしょう。
しかし、今年2025年の土星は違います。
望遠鏡を土星に向けると、そこに見えるのは、薄いクリーム色の丸い天体。
「これ、土星じゃありませんよね?だって環がないんだもの。」と自信をもって言いたくなるかもしれません。
「土星の環の消失」です。
でも、安心してください!
見えなくなるだけで、実際に環が崩壊してしまうわけではありません。
では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。


土星の環のふしぎ


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画像:©︎国立天文台

土星の環は小さな氷の粒でできています。環の主要部分の直径は数十万キロメートルと、土星本体の2倍以上の広がりがあるのですが、その厚みは平均すると百メートル以下とも言われています。
身近なものに置き換えてみましょう。
福岡市科学館のドームシアター(プラネタリウム)のドーム直径(25メートル)を土星の環の直径だとすると、厚さはティッシュペーパー1枚の厚みよりも薄いということになってしまいます。
「直径25メートルのドーム内に並べられたティッシュペーパー」が想像できたでしょうか。
「学校の25メートルプールの縁に並べられたティッシュペーパー」でも構いません。
では、この薄い環を真横から見るとどうなるでしょう。
ある程度離れると薄い環は見えなくなってしまいますよね。これが「環の消失」です。

土星の環は一定の角度に傾いたまま、約29.5年かけて太陽の周りを公転しています。
このため、地球から見える環の角度が年によって異なります。
環が大きく傾いて見えるときにはイメージ通りの"土星らしい"土星の姿となりますが、真横から水平に見ると薄い環が見えなくなり、「消失」してしまうのです。
土星の環の消失は、約15年おきに見られます。

2025年3回起こる「土星の環の消失」


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前回の土星の環の消失は2009年9月4日でしたので、今回は約15年半ぶりとなります。

1回目は、2025年3月24日。
地球から見て土星の環が真横を向くため環が見えなくなります。
ただ、この日の土星の出は福岡では午前6時で、日の出は午前6時17分です。
日の出直前のかなり明るい空で、土星の高度も低いため、観測には適していません。

2回目は、2025年5月7日。
太陽が土星の環を真横から照らします。環が薄いため、太陽光が環にほとんど当たらず、環が見えなくなります。
この日の土星の出は福岡では午前3時20分で、日の出は午前5時20分です。
薄明開始が午前3時51分で、その時の土星の高度は約5度。
東の低空で明るく輝く明けの明星・金星のすぐ右側に土星が見えているはずです。

そして、3回目が2025年11月25日。
地球から見て土星の環が"ほぼ"真横を向くため環がほとんど見えなくなります。
福岡での日の入りは午後5時12分で、薄明終了が午後6時39分。
この日の土星の南中時刻は福岡で午後7時46分ですから、深夜に土星が沈んでしまうまでの間、ゆっくりと観測することができるでしょう。
ただし、土星の環の観測には望遠鏡が必要です。
「環の消失」の観測ですので、当然、望遠鏡を使っても環を見ることはできませんが、"土星らしくない"土星の姿をご覧ください。

天体について知ろう

福岡市科学館の6階ドームシアター(プラネタリウム)の一般番組には解説員による今夜の星空生解説があり、見ごろの天体や星座を紹介しています。
また、福岡の空に広がる星々を観察する「天体観測会」や、「惑星ランキング」「惑星メイカー」などの惑星をテーマにした展示の体験ができる5階の「基本展示室」、書籍や映像で天体について深掘りすることができる4階の「サイエンスナビ」もぜひお楽しみください。

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