[天文トピック]皆既月食に注目!(2025年9月8日)
\ 2025年注目の天文トピック /
今回の月はどんな色? 皆既月食 を観察してみよう
2025年9月8日(月)、福岡では約3年ぶりに皆既月食が見られます。
月食とは、太陽・地球・月が一直線に並んだ時に起きる現象で、地球の影の中に月がすっぽりと入ってしまうときが皆既月食、一部分だけ入るときが部分月食です。
今回の皆既月食では、皆既の継続時間が約1時間23分間あります。
2025年9月8日の午前1時27分頃にかけ始め(部分食開始)、月が地球の影に入る皆既食の開始は午前2時30分頃から。午前3時12分頃に食の最大となり、午前3時53分頃に皆既食が終了、午前4時57分頃に部分食が終了します。
ぜひ、その間の月の色にもご注目ください。
一般的に、皆既月食の色は
暗い赤色です。なぜそのように見えるのでしょうか。
地球の影の中に完全に入ってしまうのであれば、真っ暗になって全然見えなくなってしまいそうな気がしませんか。
これは、地球の大気の影響によるものです。
太陽光にはいろいろな波長の光が含まれています。
地球の大気により、波長の短い青い光は散乱してしまいますが、赤い光はあまり影響を受けません。
わずかに屈折しながら月に降り注ぎます。
これによって月が赤っぽく見えることになります。
この色は、地球の大気の中にある
大気中の塵が少ないと、大気を通り抜ける光の量が多くなるためオレンジ色のような明るい色の月が見られます。
塵が多いと、影が暗くなり、灰色や、時には黒く見えることもあるといいます。
1982年12月30日に起こった皆既月食は真っ黒だったそうです。
その年の春、メキシコのエルチチョン火山が噴火しました。
その火山灰などが成層圏にまで達した影響だと言われています。
今回の月食はどのような色に見えるでしょうか。
[文:福岡市科学館 学芸員 丹野佳代子]
PROFILE

福岡市科学館 学芸員
福岡市科学館ドームシアターリーダー
佐賀県佐賀県佐賀市⽣まれ。
佐賀県内公⽴学校で教鞭をとる。
佐賀県武雄市にある佐賀県⽴宇宙科学館の建設に際しては、プラネタリウム・天⽂台、宇宙関係の展⽰物の設計等をおこなう。
佐賀県立宇宙科学館開館後は、科学館に勤務し、宇宙チームのリーダーとして、プラネタリウムや天⽂台の運営、番組制作、教育普及活動をおこなう。
2008(平成20)年、天⽂教育普及に関する業績により、小惑星12411に「Tannokayo」と命名される。
佐賀県⽴博物館・美術館の学芸員を経て、現在は福岡市科学館に勤務し、ドームシアターリーダーとして、プラネタリウムの運営・番組制作等にあたっている。 豊富な知識をバックボーンとした⽣解説は、星の語り部として、全国にファンも多い。
プラネタリウム番組のナレーションや番組制作の監修も⾏っている。
\ 皆既月食前にプラネタリウムで予習しませんか? /
ECLIPSE
THE
MOMENTS
OF
WONDER
奇跡の天体ショー 日食と月食
日食や月食、金星食、土星食などの天文現象について、映像とコンピューターグラフィックスを利用して紹介します。世界的なアストロフォトグラファー(天体写真家)が撮影した実際の映像を利用して制作しました。8Kフルドームの実写カメラで地上から見えるあらゆる「食」をとらえた圧巻の天体ショーをお楽しみください!声の出演は坂本真綾さんです。
[期間]2025年3月5日(水)~2025年9月8日(月) [時間]約45分間(約15分間の今夜の星空生解説+約30分間の番組投映) [対象]小学校高学年以上(推奨) [料金(税込)]大人 510円、高校生 310円、小・中学生 200円、未就学児無料(要保護者同伴)※外国語対応番組(英語・中国語・韓国語)
参考リンク
<参考リンク / 国立天文台ホームページ>
・月食とは
https://www.nao.ac.jp/astro/basic/lunar-eclipse.html
・月食の観察のしかた
https://www.nao.ac.jp/astro/basic/lunar-eclipse-obs.html
・月食各地予報
https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/eclipsex_l.cgi
・月食一覧(2010年から2030年)
https://www.nao.ac.jp/astro/basic/lunar-eclipse-list.html