[レポート]わたしの"ひらめ木"工作

イベントレポート
2025年11月9日まで特別展「キボリノコンノ展」を開催中の福岡市科学館では、2025年10月19日にCAN!Pの皆さんを講師にお招きして、「わたしの"ひらめ木"工作」を開催しました。このイベントは、工作を通じて「木」の材料としての魅力を感じてもらうとともに、自由な発想で作品に取り組む楽しさを体験できるワークショップです。当日の様子をご紹介します。
01 キボリノコンノ展を見学して感想を共有
工作の前に、創作のイメージをひろげるため、まずは特別展「キボリノコンノ展」の見学を見学しました。キボリノコンノさんが「コミュニケーションツールになるような作品づくり」を心がけていることもあり、ほとんど初対面同士という参加者の皆さんが「すごい、本物みたい。おもしろい~!」「クイズ難しいね!これが木かな?」とコミュニケーションも楽しみながら見学されていました。

工作室に戻り、それぞれの感想を共有。自由な発想や、発想することの楽しさを感じてもらえたようです。
<参加者の声>
「おもしろいアイデアがたくさんあった。」
「写真を撮ると透けてみえたりしておもしろかった。」
「つくり方がわかってよかったです。」
「楽しくて写真50枚くらいとった!」
「つみきは木ってわかるけど、今日見た作品は木にみえなかった。何でも木でつくれることがわかっておもしろかった。」

02 "ひらめき"を加えて作品をイメージする
キボリノコンノさんの作品に刺激を受け、早くつくりたくてうずうずしている皆さん。ワークシートに自分の考え、デザインや機能などの創作イメージを書き込みます。今回は初心者の小学生向けプログラムのため「鉛筆たて」「たからばこ」「本たて」からベースを選び、そこに"ひらめき" を加えてもらいました。"ひらめき"は「〇〇がよろこぶ」「〇〇にとって便利な」など、自分で考えた工夫です。キボリノコンノさんのように「自分で考えて工夫する」ということを今回のテーマとして大切にしながら、皆さんに取り組んでもらいました。

03 木材をつかってかたちにする
いよいよ木材を使って、かたちにしていきます。
どのくらいの大きさでどんなかたちにする?
そのためにはどんな厚さの木材をどう組みあわせる?
どんな道具をつかったらいいかな?
「わからないこと」について自分で考えながら、スタッフのサポートのもと進めていきます。

木材の長さが少しだけ足りなかったり、金具の固定が難しかったり...木材の採寸、道具の扱い方などに苦戦する参加者もいましたが、木材を継ぎ足すなど自分で工夫したり、まわりに相談して協力しあったりしていた様子が印象的でした。

今回使用した道具は、えんぴつ・ペン・定規・ボンド・紙やすり・金槌(かなづち)・ノコギリ・イトノコ・くぎ・ネジ・ちょうつがい・電動ドライバー・彫刻刀。ノコギリや電動ドライバーなどの使用は初めてという参加者がほとんどでしたが、最初は少し怖がる様子の参加者も、スタッフと一緒に体験することで慣れていき、一人で使えるようになった様子も見られました。

初めて扱う道具の扱いが上達したことや、一から組み立てた物が出来上がっていくことに達成感を感じていた皆さん。なかにはまるで職人さんのように木材を薄く加工していた参加者もいて、大人も思わず見入るほど...みんなで拍手!なんて風景も。
04 作品を発表して工夫したことや気付きを共有
短い時間でしたが、自分なりの工夫をしながら取り組んでいた参加者の皆さんから、最後にそれぞれのつくった作品や工夫したところなどをみんなで共有してもらいました。制作の過程で新しい発想が生まれたことや、苦戦した体験など、さまざまな共有がありました。

<参加者のコメント>
「友達にプレゼントしたくてたからばこをつくったけど、別のものができました。ふたはつけずに三角形の木の飾りをつけて、外側はイラストを描いて飾り付けした小物入れがです。内側の何も描いてないところは、友だちに自由に絵を描いてアレンジしてほしいです。」
「丸い木をくまの耳にして、くまのかたちのたからばこをつくりました。木のロボットもつくりました。」
「たくさんものが入れられるラージチェストをつくりました。まだ何を入れるかは決めていないので、これから考えます。」
「カブトムシみたいなペン立てをつくりました。つくってみると、あしがとれやすくて難しかったです。」
「使いやすいように、ふたの持つところの大きさやかたちを工夫しました。」

05 アイデアをかたちに
最後にCAN!Pの西澤息吹さんから「独学で作品づくりに取り組んでいるキボリノコンノさんは、わからないことに挑戦したり、自分がおもしろいと思ったものをかたちにするために、いろんな工夫を重ねたりしているそうです。観察して、想像して、つくってみて、うまくいかないところがあったら、自分で考えて、試行錯誤してみる。キボリノコンノさんはいつも探究して作品づくりをしているんですね。今日は工作を通して、探究のプロセスの一部を体験してもらいました。今日作った作品は、もっとこうしたらいいかもというアイデアがあれば、ぜひおうちで続きをつくって、探究してみてください。」とメッセージがありました。
ご参加いただいた皆様、CAN!Pの皆様、ありがとうございました。
自由な発想でつくる楽しさは、誰でも味わうことができます。今回のプログラムに参加できなかった方も、身のまわりの木や素材にふれて、アイデアをかたちにする体験を楽しんでいただき、自分だけの"ひらめ木"を見つけていただけたらと思います。

\ 11月9日(日)まで開催 /
特別展「キボリノコンノ展」

かた一い木なのに、柔らかそうにも、透けているようにも、美味しそうにも見えてしまう不思議な木彫りたち。木彫り作品を見て、撮って、触って、探して・・・
今話題のクリエイターがおくる、あっと驚き、ちょっとほっこりする体験型の展覧会です。キボリノコンノ作品を通して、ものづくりの楽しさはもちろん、観察すること、考えること、想像することの大切さを体感してください。
[期間]2025年9月13日(土)~11月9日(日) ※毎週火曜日休館 火曜日が祝日の場合は開館し、翌平日を休館 [時間]9:30~18:00 ※入場は17:30まで [場所]福岡市科学館 3階 企画展示室
