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石川賢治さんインタビュー[子どもの頃の思い出]

特別展「石川賢治月光写真展 月光浴 月夜の晩に」


福岡市科学館では、2026年9月19日(土)~10月25日(日)に特別展「石川賢治月光写真展 月光浴 月夜の晩に」を開催しています。月の光だけで作品を撮り続けている月光写真家・石川賢治さんに子どもの頃の思い出についてお伺いしました。
※ 本文中では敬称を略し、「石川賢治氏」は「石川」と表記しています。


科学館:石川さんは福岡ご出身で、現在は糸島にお住まいなのですね。


石川:私は福岡の大濠公園に面した場所で生まれ育ちました。子どもの頃、大濠公園や西公園の森で毎日のように昆虫採集をしていました。


科学館:科学館からも近くにある大濠公園は、私たち科学館にとっても、フィールドワークなどを通して自然や生きものに親しむ身近な場所です。


大濠公園

大濠公園での福岡市科学館フィールドワークの様子 (福岡市科学館撮影、写真左:ネイチャークラブ、写真右:フィールドワーク「空飛ぶけもの『コウモリ』を探そう」)

科学館:子どものころの体験で、現在の仕事につながっていると感じる思い出はありますか。


石川:小学校に入る前の幼い頃、よく自宅の玄関先で1人で遊んでいたのが「日光写真」でした。日光写真というのは、感光材料が塗られた印画紙の上に画像シートを重ねて、太陽の光(紫外線)にあてる遊びです。太陽に向けて何分間かじっとあてていると、徐々に青く変色して絵が浮かび上がってきます。あてる時間が長すぎると真っ暗になって失敗してしまうし、短すぎてもうまく写らない。あの絶妙な時間を待つワクワク感がたまらなくて、玄関先で夢中になってやっていました。


科学館:光をあてる時間によって、少しずつ像が現れてくる――不思議な現象に、好奇心をくすぐられる体験ですね。その体験は、現在の月光写真にもつながっているのでしょうか。


石川:よくよく考えてみると、この子ども時代の遊びは、いま私がやっている月光写真と驚くほどよく似ています。日光写真は印画紙の感度が低いために時間をかける必要がありますが、月光写真は月の光の量が太陽光の46万5千分の1しかなく光がわずかなので、カメラのシャッターをずっと開けっ放しにする「長時間露光」を行います。時間をかけてじっくりと光を蓄積させていくその手法は、幼い頃に玄関先でやっていた日光写真そのものだなと感じることがあります。



科学館:実際にレンズのついたフィルムカメラを最初に手にされたのはいつ頃でしたか。


石川:本格的に写真を始めたのは18歳、高校3年生の頃からです。実は、私の父は絵描き(画家)でした。そのため、幼い頃から自分も何か物を作る仕事がしたいと考え、最初はグラフィックデザイナーを目指そうと思ったのです。そこで高校生の時、多摩美術大学(多摩美)の夏期講習を受けに行きました。ところが、そこで大きな挫折を味わったのです。教室で私の隣に座っていた人が、めちゃくちゃ絵が上手くてね。指の間に何本も鉛筆を挟んで、器用にデッサンをしているわけです。当時の私は鉛筆を2本しか持っていませんでしたから、「うわあ、これは逆立ちしてもかなわない、デザインの世界では生きていけないぞ」と痛感しました。


科学館:そこから、どのように進む道を考えられたのでしょうか。


石川:「絵筆を持たずに、自分を表現できるものは何かないだろうか」と必死に模索し始めました。当時、私の兄がアマチュアで写真をやっていて身近にカメラがあったこと、そして兄の親友が朝日新聞の記者だったことが大きなヒントになりました。その記者の人が、昔の大きな報道カメラ――「スピグラ(スピードグラフィック)」という、フラッシュバルブ(電球)を差し込んでパッと光らせる大掛かりなカメラを持って、私の写真を撮ってくれた経験があったのです。その時に「写真ってすごく面白そうだな、興味深いな」と強く引き込まれました。これがきっかけとなって、進路をデザインから写真へと切り替え、日本大学芸術学部(日芸)の写真学科へと進学することになります。あの多摩美での挫折と、新聞記者のスピグラとの出会いがあったからこそ、18歳の私はカメラを手に取り、今日の月光写真家としての人生へと歩み出すことができたのだと思います。


高校3年生の時に本格的に写真を始めた石川さん。 月光写真の撮影との出会いは、どのようなものだったのでしょうか。
次回のインタビューでご紹介します。

特別展「石川賢治月光写真展 月光浴 月夜の晩に」


特別展「石川賢治月光写真展 月光浴 月夜の晩に」

四季折々、満月の夜。私たちは宇宙とつながっている。
1年に12回しかない満月の下で撮り続ける月光写真家・石川賢治。30年間の世界4大陸に渡る満月の旅を経て、2016年より福岡・糸島半島に住み、作品を撮り続けています。本展は、福岡・糸島を中心に、北海道から沖縄まで日本の春夏秋冬を舞台に月夜の情景を綴る写真展です。

月の光で撮影した写真と自然音が織りなす、月夜の没入体験。
ほの暗く照明を落とした会場では、世界各地でのロケ撮影中に石川賢治が撮影する隣で録音された虫の声、さざ波、風の音など、満月の夜の自然音が流れます。昼間と違う表情の原風景の写真と自然音に包まれながら、宇宙とつながりに思いを巡らせてみませんか。


特別展「石川賢治月光写真展 月光浴 月夜の晩に」

[期間]2026年9月19日(土)~10月25日(日)
  ※休館日:9月24日(木)、29日(火)、10月6日(火)、13日(火)、20日(火)
[時間]9:30~18:00(入場は17:30まで)
[場所]福岡市科学館3階企画展示室

特別展「石川賢治月光写真展 月光浴 月夜の晩に」

特別展 関連プログラム


■ ギャラリートーク[詳細はこちら]
日時:2026年9月27日(日)、10月9日(金)、10月21日(水) 各日14:00~

■ サイン会[詳細はこちら]
日時:2026年9月27日(日)、10月9日(金)、10月21日(水) 各日15:00~

この秋は、この秋は「月光浴」を楽しもう

特別展「石川賢治月光写真展 月光浴 月夜の晩に」