サイト内検索

【レポート】「次世代エンジニア育成 国際ハッカソン」

2018.11.16 ~2018.11.18

【レポート】「次世代エンジニア育成 国際ハッカソン」

11月18日(日)福岡市科学館6F「サイエンスホール」で公開発表が行われました。九州・沖縄地区の国立高等専門学校8校に加えて、シンガポール、香港からも参加。準備期間は、発表日を含めてわずか3日間。アイデアとスピードを駆使したコンテストに、学生は力の限りを発揮しました。

content_25bbab2189.jpg

ハッカソンとは何?

そもそもハッカソンとは何なのか?聞いたことはあるけど、意味を知らない...そんな方のためのインストラクションです。ハッカソン(hackathon)は、ハック(hack)とマラソン(marathon)を組み合わせた造語です。ハックには「物事を改善する、解析する」という意味があります。

具体的には、どんな活動をするのでしょうか?まず、研究、リサーチなど分野の異なる人でチームをつくり、与えられた1つのテーマに従って限られた時間に集中。アイデアを出し合って運用するためのシステムやサービスをまとめます。その成果を発表会で競うものです。

content_c3229e1b70.jpg

テーマは「ロボット×IoT×防災」

今回の期間は3日間(実質2日間)。16日午後に海の中道青少年海の家に集合し、全体説明や防災をテーマにアイデア出しを行いました。3色のカードにそれぞれ、赤:災害・起こる事象、青:守りたいもの、黄色:そのための対応策、を考えました。そして夕食後に各校ばらばらの5・6人のグループを編成し、書き込んだカードを元に実現可能なものをピックアップして、プログラムや映像や画像編集など、それぞれの得意分野を活かして限られた時間でアイデアを形にしていきます。
(イベント詳細はこちら)

content_4403340679.jpg

16日午後、17日の丸一日を通してお互いのアイデアと役目を担いながら、話し合いを進めていきました。18日当日に会場入りしたときの表情も様々でした。笑顔とリラックスで本番に備えるグループもあれば、緊張した面持ちで最後までチェックを怠らないグループもありました。英語でのテキストを読み返すグループもありました。

content_683cb2311b.JPG

いよいよ本番!発表は英語!

18日午後2時。8つのチームが集合したサイエンスホール。10代のプレゼンの様子を見るために、一般の方も客席に陣取っていました。構成は全体で10分間。基本は英語で5分。要約したものを日本語で1分。その後に質疑応答で4分という形となります。英語で流暢に話す者がいれば、単語と発音を確かめながら苦戦する学生もいます。その分、手振り身振りを見せながら観客に訴え続けました。審査員の英語による厳しい質問にも、躊躇することなく、さらりと答えるシーンは印象的でした。

content_8b72105aca.JPG

最優秀賞は安全ルートを確立した「Lazy Boys」

【最優秀賞】

グループ名=Lazy Boys
タイトル=Disaster guidance system @ home

グループ名は「怠け者」「だらしない者」でも、中身は決してそうではありませんでした。家の中で、弱者である子ども、お年寄り、障がい者を安全なルートを通して、安全な場所に導くというものでした。ロボットが自ら危険を察知しながら、安全なルートを確保していくというもの。さらにアップデートしたロボットは、災害のあった場所に突入して、その様子から今後の策を即座に練るというものでした。耐久性のあるロボットの性質を生かしていました。

content_9b5575574c.JPG

「プログラムは難しかったです。試行回数は100回を超えました。評価されたことを嬉しく思います」。壇上では全員が笑顔で答えていました。オープニングで「スターウォーズのテーマ」を使用したことで、みんなの心をつかんだのかもしれません。

content_bc8c5886a8.JPG

震災の体験を生かした「Hackatathon」がスポンサー賞

【スポンサー賞】

グループ名=Hackatathon
タイトル=IoT X supplying for people affected by disaster

発音は「ハカタソン」。ハッカソンに「博多」を加えた洒落たネーミングのグループです。このグループのアイデアは、地震などのあと水が出なくなる前に、必要に応じて自動で政府や自治体に要請を送るというもの。スポンサー賞の1つを獲得しました。

content_314987cb78.JPG

地震などが起こった後、風呂の水位が低い場合に貯める機能を搭載しています。災害が起こった後に何ができるのか?...そういう論点から考えられたものです。このグループには、熊本高専から参加した学生がいました。16年の熊本震災の被災者でした。「地震直後なら、まだ水は出ます。水が止まる前に水を貯めることの大切さから考えました。自分の経験から思いついたものです」。その学生はしみじみと振り返っていました。

他のスポンサー賞は以下の通りです。

content_64a7a879f8.JPG 【スポンサー賞】

グループ名=UMA
タイトル=Smart escape

非常事態ではパニック状態に陥ることが多くなります。今回の目的は、パニックを避けて効率よく、かつ早く人々を非難させること。1つの出口に集中しないように探索しながら、人々を先導するものでした。

content_65e8dbd2ab.JPG 【スポンサー賞】

グループ名=Flying Distributer
タイトル=Drone rescue system

目的は2つ。「被災地にいる方を助ける」、「道路の利用できない場所に物資を届ける」。ドローンとサーバを駆使して、人々に物資を届けます。ロボットに色を認識させながら、より確実に運用するもの。色センサの認識によりロボットの位置、回転角度を決めるというものでした。

content_1da71bdd88.JPG 【参加チーム】

グループ=Pocket Gang
タイトル=Causing rain to prevent flooding


グループ=Family
タイトル=Family protection


グループ=Team K
タイトル=Flying against TSUNAMI


グループ=TMJ
タイトル=ME(Management energy)


「次世代エンジニア育成国際ハッカソン」の取り組みに関しての詳細はこちら

thumb_mini_cc7231ae75.jpg
Yasushi Nakamuta
ライター

新聞社の記者職を経てフリーランスライターに。野球、サッカーなどのスポーツと公営競技が中心だが、最近は経済、グルメ、健康情報なども担当。新聞、テレビ、ホームページなどをフィールドとする。趣味はマラソン(サブ4)、旅行で困らない程度の英会話、断捨離。